会計の現場で感じたこと

私がまだ税理士になる前、

一般企業で経理事務をしていたときのことです。

月次の試算表を作るのですが、その作業に疑問を感じていたことがありました。

 

当時はまだ手書きの会計伝票が当たりまえの時代です。

会計事務所の担当者が翌月になると伝票を取りにきます。

持ち帰った伝票をもとに会計ソフトに入力し、

一週間後に月次試算表が会計伝票と一緒に送られてきます。

なんのコメントもありません。

ただ機械的に行われているのです。

 

当時から日々の会計事務所のこのやり方に疑問を感じていました。

なぜなら、会計の専門家が作成したこの試算表を

私がまたチェックをしなければならなかったからです。

私が初めから会計ソフトに入力すれば、時間の短縮になるのに、です。

15年前の話です。

いま、税理士になってみて、そして驚きました。

私のもとに依頼してくる企業の中に、同じような会社が多数あるのです。

 

税理士は、事務の省力化のアドバイスはしないのか、

あるいは、事務の省力化が必要なことに気が付いていないのか。

アドバイスを行うには、

現場に伺って業務の流れを社長や経理担当者に聞かなければなりません。

聞いている中で、問題点や見直す点が浮き彫りになってくるからです。

 

人は、なぜこの作業が必要なのだろうか。

前任者から言われたが、なぜ必要なのだろうか。

重複している部分を省略できないのか、と

疑問や好奇心を持ったときに変わります。

何も感じなければ何も変わりません。

 

社長自身が今の状況を変えたい、

会計をこれから先の経営に使いたい、資金繰りにも活用したい、

と望んで初めて私は、お手伝いができます。

 

社長の想いや考え方は目には見えません。

言葉で表現しなければ社員には伝わりません。

そして根気よく表現し続けなければ、分かりません。

 

社員の意識を変えることは大変なことです。

それは、その人の習慣を変えることだからです。

習慣を変えるためには、相手の準備する期間が必要です。

 

まずできることは、

今、目の前にある現状を把握することから始めることです。

現状の把握とは、今ある数字を使えばいいのです。

 

これは、単なる過去の比較分析ではありません。

前年実績より業績が上がっていれば、よし、この調子で頑張ろう!

前年実績より業績が下回っていれば、よし、今期はもっと頑張ろう!と

過去と比較をしても参考にはなりますが、ただそれだけです。

それ以上でも以下でもありません。

 

具体的に、何を、どうやって、頑張って行けば良いのか、

伸ばすところはどこなのか、

手を引かなければならないところはあるのか、ないのか。

私は社長と一緒に考え、全力でサポートします。